判例の扱い方

判例の扱い方

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判例

判例をどう扱えばよいのか?『判例の扱い方』についての、僕の考えを書いておこうとおもいます。

photo credit: dalbera Châtaignier en fleur d'Auguste Renoir (Alte Nationalgalerie, Berlin) via photopin (license)

以前の投稿で、こんなことを書きました。

判例って、多数の国民が、「そりゃそうだろなあ」と納得のいく結論をとります。当然ですよね。

判例は、社会のルールのひとつです。国民の多くが納得しないルールなんてあってはなりません。

時代が変わって国民の意識も変わった時は、判例も変わります。判例変更というやつです。判例の基盤は常に、国民の信頼なんですね。

だから、判例の結論にはあなたも納得できるはずです。というか、資格試験(に限らず…)の受験生としては、判例の結論に納得してしまうことが、仮にそれを忘れてしまったとしても、本試験会場で思い出せる秘訣だったりします。

さらに余談ですけど、裁判官って、まず、結論から出します。

「ここの論点は理論的にこうだから、結論はこうなる・・」なんて考えません。逆です。結論から先に出して、理屈(理論)は後でくっつけます。最高裁判所の元裁判長の方も、著書でそう書かれています。

判例は、国民の多数が納得する結論である必要があります。「理論的にはこうなるけど、その結論は国民の価値観とはズレてしまう」ではいけないですよね。「結論が先にあって、理屈を後からくっつける」という順番です。

資格試験受験生としても、まず、結論を考えて納得して、「そりゃそうだよなあ」と判例の結論を納得して、覚える。そうすると、あれっ?と忘れてしまっても、本試験会場で思い出せるのです。

こうも書きました。

判例というのは、国民の多数が納得する結論を取るものです。当然ですよね。

司法の基盤は、国民の信頼です。・・・だとすれば、判例を勉強する受験生としても、判例の結論に納得できるはずです。「納得できん!」という少数意見の方、受験生である以上はひとまず信念は脇に置いといて、納得してしまいましょう。

何度も何度も納得すること。納得したことは忘れてしまっても試験会場で出てきますからね。「えーと、ここはBが可哀想だから、こうでしょ。」みたいに。

とりわけ、敷金関係のように、一見、難しそうで腰が引けそうな、そんな判例は、とにかく何度も納得すること。「そりゃそうだろうなあ。」と何度も何度も納得する。決して暗記しようなんて思わないこと。暗記したものは100%忘れます。忘れたら出てきませんからね。

受験勉強から離れて記憶もあいまいな状態ですけど、受験生時代に何度も何度も納得を繰り返していたこともあって、今でも少し考えると出て来るのです。

肢2,肢5の判例も「どうだったっけ?」と思いつつ、ちゃんと出てきました。納得した判例は、何年経ってもちょっと考えると出てくるのです。

「小難しい言い回し」の判例。

最初は「ややこしい言い回しをするなあ」と思いつつ、「なるほどねえー」と何度も何度も納得を繰り返す。それをすることで、変な言い回しであっても自分の中では常識になっていきます。小難しい言い回しも暗唱できることに快感を覚えるようになっていきます。

弁護士として初・元最高裁判所長官も明言する法律の思考順序とは?

「土地の工作物」にあたるか否かは、「それを設置した管理者(占有者)に賠償責任を負わせるべきか否か?」の結論から逆算して判断すればよいと思います。

鉄道会社に賠償責任を負わせるべきであれば、線路は「土地の工作物」にあたると解する。

線路は「土地の工作物」にあたるか?を理論的に考えて結論を出すのではなく、賠償責任を負わせるべきという結論から逆算して「土地の工作物」にあたると解釈する。つまり、賠償責任を負うという結論が先にあって、理屈は後から付ける。

このように、法律の問題というのは、まず、結論があって、その結論に説得力をもたせるために後から理屈を付ける。後から理論付けする。そういうものです。え~!?と違和感を感じた方、きっといると思います。でも、法律の思考順序というのは、結論が先にあるのです。

このことは、元最高裁判所長官の藤林益三さんも明言されています。

『明治人―言っておきたいこと』読売新聞大阪本社編

判例つまり裁判官が結論から先に考えるというのは、分かりやすいと思います。

例えば、判例変更ってありますよね。これまでの判例の結論が現在の社会常識からズレてきてしまった、これまでは否定されていたけど、現在の社会の価値観からは肯定すべきだと。そういう時に、判例はひっくり返る。

昨日まで否定してたのに、180度ひっくり返って肯定する。理論ではないです。理論がひっくり返ったんじゃない。結論が非常識になったから、結論をひっくり返したんです。で、ひっくり返った結論のために、新しい理屈を後から付ける。理論は後から付けるのです。

法律の勉強を始めて間もない頃は、理論から結論を出す、と勘違いしがちです。でも、法律の勉強は違います。逆です。結論から考える、理屈は後から付ける。。

結論が先にある。

判例の勉強などは、理論構成なんて後回しでOK。まずは、判例のとる結論を、自分の感性で納得できるか、いえ、納得できるまで徹底的に考えておく。

何度も何度も納得する。これを繰り返すことで、たとえ忘れてしまったとしても、本試験の会場で記憶を自力で引っ張りだすことができるようになる。

「ここは認めてあげないと可哀想なんだよな」と何度も納得した結論をまず思い出す。すると、その理論構成なども記憶から引っ張りだすことができるのです。受験勉強から離れて数年も経つ僕でも、この方法で記憶を引っ張りだすことができるのです。

丸暗記は忘れたらオシマイ。合格して数ヶ月もしたら跡形もなく綺麗サッパリ忘れてしまいました・・では、まずいですよね。実務で仕事をするための勉強をしているのですから。どうせ集中的に勉強をするのであれば、残る勉強、実務にいってからも自分を助けてくれるような勉強、そんな意味のある勉強をしてほしいとおもっています。

判例に強くなること、イコール民法に強くなること、イコール点を稼げる!

基本判例をものにして民法で点を稼いでしまいましょうね。

判例を学ぶときの心構え、判例の扱い方。

これまでの投稿からピックアップしてみました。

今回は、以上です。

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