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無償契約の基本とは?定期贈与他

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無償契約無償契約という視点から、

各種契約の知識を横断的に問う問題です。

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肢1.定期贈与!?

定期贈与は細かい条文です。けれど、同じ趣旨の基本といってもよい条文が、民法にはいくつかあります。

それは、「代理や委任では、本人/委任者または代理人/受任者の死亡が契約の終了事由になる」という条文です。

代理も委任も、当事者間の強い信頼関係を基礎としているので、当事者の死亡により契約は終了する、相続人に承継されません。

「あなたに頼みたい。」

「あなたは信頼できるから代理人/受任者になって欲しい。」

そういう関係なのですね。

相続の分野では”一身専属性”と言ったりします。

(定期贈与)
第五百五十二条  定期の給付を目的とする贈与は、贈与者又は受贈者の死亡によって、その効力を失う

で、定期贈与。

定期的に、例えば「毎月○○万円をタダで与える」、そんな関係って普通じゃないですよね。特別な密接な人的関係が当事者間にはあるはずです。

「そういう密接な関係というのは、そうそう、代理や委任と同じだな。そういう場合、死亡で終了するんだったな。相続はしないんだったな。」

これくらいの連想はしてほしい、できるでしょ。というのが作成者の意図なのだと思います。確信まで出来なくてもOK。そんな条文まで押えておくことは要求しませんよ。そんなところだと思います。

確信は出来ないので、「肢1が正しいような気もする」と思いつつ、肢2以下をみていくことになります。

肢2.贈与契約における担保責任

これは、無償契約である贈与の基本的条文として、迷うことなく誤りと判断したいところです。

他の無償契約にも準用されていますよね。

(贈与者の担保責任)
第五百五十一条  贈与者は、贈与の目的である物又は権利の瑕疵又は不存在について、その責任を負わない。ただし、贈与者がその瑕疵又は不存在を知りながら受贈者に告げなかったときは、この限りでない
2  負担付贈与については、贈与者は、その負担の限度において、売主と同じく担保の責任を負う

タダなんだから担保責任は負わないよ。

これが原則。

ただし、贈与者が知っていながら告げなかった場合には、受贈者の受けた損害を賠償させるべきでしょ。

そんな趣旨の条文です。誤り。

肢3.細かすぎます..

後半部分の「相当の期限を許与すること」の可否なんて細かすぎます。。

(借用物の費用の負担)
第五百九十五条  借主は、借用物の通常の必要費を負担する
2  第五百八十三条第二項の規定は、前項の通常の必要費以外の費用について準用する

(買戻しの実行)
第五百八十三条  売主は、第五百八十条に規定する期間内に代金及び契約の費用を提供しなければ、買戻しをすることができない。
2  買主又は転得者が不動産について費用を支出したときは、売主は、第百九十六条の規定に従い、その償還をしなければならない。ただし、有益費については、裁判所は、売主の請求により、その償還について相当の期限を許与することができる。

(占有者による費用の償還請求)
第百九十六条  占有者が占有物を返還する場合には、その物の保存のために支出した金額その他の必要費を回復者から償還させることができる。ただし、占有者が果実を取得したときは、通常の必要費は、占有者の負担に帰する。
2  占有者が占有物の改良のために支出した金額その他の有益費については、その価格の増加が現存する場合に限り、回復者の選択に従い、その支出した金額又は増価額を償還させることができる。ただし、悪意の占有者に対しては、裁判所は、回復者の請求により、その償還について相当の期限を許与することができる。

前半の「タダで借りているんだから通常の必要費は借り主が負担してね」(595条)という知識と「有益費は貸主負担だよ」という知識は基本といってもよいですけど、196条まで遡っての期限の許与の可否なんて細かすぎ。ここまで覚える必要なんてありません。

肢4.善管注意義務

肢5と合わせて善管注意義務の知識問題です。

まず、委任契約というのは原則として無償です。

(受任者の報酬)
第六百四十八条  受任者は特約がなければ委任者に対して報酬を請求することができない
2  受任者は、報酬を受けるべき場合には、委任事務を履行した後でなければ、これを請求することができない。ただし、期間によって報酬を定めたときは、第六百二十四条第二項の規定を準用する。
3  委任が受任者の責めに帰することができない事由によって履行の中途で終了したときは、受任者は、既にした履行の割合に応じて報酬を請求することができる。

普通の感覚だと、受任者は報酬をもらうものでしょ?と思うかもしれませんけど、それは有償の特約を付けているのですね。

原則無償で、報酬を払うときは有償の特約を付ける。ここは勘違いしないようにしましょう。

で、委任契約における受任者は、善管注意義務を負います。

(受任者の注意義務)
第六百四十四条  受任者は、委任の本旨に従い、善良な管理者の注意をもって、委任事務を処理する義務を負う

ということは、委任契約では無償でも受任者は善管注意義務を負う。そうなります。有償のときはもちろん、です。ここを軽く引っ掛けようとしていますけど、肢5の知識と混乱しないように。。

肢5.無償の受寄者の注意義務

出ました!善管注意義務の例外といえば、無償の受寄者ですね。

無償の受寄者は、タダで預かってあげているということで注意義務が軽減されていて、「自己の財産に対するのと同一の注意義務」でOKとされています。

善管注意義務の例外は、財産法では一つだけ!無償の受寄者のみです。

(無償受寄者の注意義務)
第六百五十九条  無報酬で寄託を受けた者は、自己の財産に対するのと同一の注意をもって、寄託物を保管する義務を負う。

身分法には、身内だからということで注意義務が軽減されている条文がいくつかあります。親権者や相続放棄者・限定承認者です。

(財産の管理における注意義務)
第八百二十七条  親権を行う者は、自己のためにするのと同一の注意をもって、その管理権を行わなければならない。

(相続の放棄をした者による管理)
第九百四十条  相続の放棄をした者は、その放棄によって相続人となった者が相続財産の管理を始めることができるまで、自己の財産におけるのと同一の注意をもって、その財産の管理を継続しなければならない。

(限定承認者による管理)
第九百二十六条  限定承認者は、その固有財産におけるのと同一の注意をもって、相続財産の管理を継続しなければならない。

細かいようですけど、親権者や相続人といった身内の者は注意義務を軽減してよいでしょ、他人じゃないのだから。そんな感じで覚えておけばOKだと思います。出題されるのは無償の受寄者までだと思いますけど。。

(なお、商人がその営業の範囲内で寄託を受けた場合は無償であったとしても善管注意義務を負います。

第九章 寄託
第一節 総則
第五百九十三条  商人カ其営業ノ範囲内ニ於テ寄託ヲ受ケタルトキハ報酬ヲ受ケサルトキト雖モ善良ナル管理者ノ注意ヲ為スコトヲ要ス

商人はプロだからです。この条文のように商法には民法を修正した条文がいくつもあります。商法も試験科目の一つですから、民法の修正という視点でチェックしておくとよいかなと思います。科目横断的な問題も有りえますから。)

ということで、肢4も肢5も誤り。で、残ったのが肢1と肢3ですね。どちらも確信をもってこれが正解と判断できないもどかしい状態ですね。

そういう場合、「肢1が正しいような気がするから肢1かな。。」それでOKだと思います。まさか全く知らない分からない判断できない肢3を正解としたりしませんよね。肢1を「いいんじゃないの」と判断した自分を信じましょう。その判断は正しい確率が高いですから。ほんと。(逆に、肢1が「それはおかしいんじゃない」と感じたら、答えは残った肢3かな。。と判断してよいと思います。)

まとめ

横断的に知識を問う問題というのは、民法全体を通じて複数の契約の知識を問われます。

細かい条文知識の肢が多かったり、本問のように、自信をもってこれが正解!と判断できないこともあったりします。

ストレスたまりますよね。こういう問題が何問も続くと本番試験中どんどんストレスがたまっていきます。

でも、基本知識と消去法の駆使とで2つの肢まで絞って、最後は自分で一応の判断をした場合、高い確率で正解しています。

そういうものです。自分を信じましょう。基本の勉強で本試験問題は解けるんだということを信じましょう。

基本の勉強で正解にたどり着けるように巧みに作られている。そう納得できるまで徹底的に本試験問題を分析する。それが過去問を解くことの意味だと思います。この視点で当ブログは書かれています。ちょっと長いですけど。。

これからも息抜きに読んでみてくださいね。

今回は以上です。

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