基本知識を正確に理解する、この結果は妥当なのかと自分の頭で考えて納得して、結果から遡って理論を押さえていく。そんな地道な勉強が、難化したと言われる問題に対しても有効なんですね。
唐突で、言葉足らずだったかなとおもい、少々補足をしておきます。
以前の記事で、こんなことを書きました。
弁護士として初・元最高裁判所長官も明言する法律の思考順序とは?
「土地の工作物」にあたるか否かは、それを設置した管理者(占有者)に賠償責任を負わせるべきか否か?の結論から逆算して判断すればよいと思います。
鉄道会社に賠償責任を負わせるべきであれば、線路は「土地の工作物」にあたると解する。
線路は「土地の工作物」にあたるか?を理論的に考えて結論を出すのではなく、賠償責任を負わせるべきという結論から逆算して「土地の工作物」にあたると解釈する。
つまり、賠償責任を負うという結論が先にあって、理屈は後から付ける。
このように、法律の問題というのは、まず結論があって、その結論に説得力をもたせるために後から理屈を付ける。後から理論付けする。そういうものです。
え~!?と違和感を感じた方、きっといると思います。でも、法律の思考順序というのは結論が先にあるのです。このことは元最高裁判所長官の藤林益三さんも明言されています。
判例つまり裁判官が結論から先に考えるというのは分かりやすいと思います。
例えば、判例変更ってありますよね。これまでの判例の結論が現在の社会常識からズレてきてしまった、これまでは否定されていたけど、現在の社会の価値観からは肯定すべきだと。そういう時に判例はひっくり返る。
昨日まで否定してたのに180度ひっくり返って肯定する。理論じゃないです。理論がひっくり返ったんじゃない。結論が非常識になったから結論をひっくり返したんです。
で、ひっくり返った結論のために新しい理屈を後から付ける。理論は後から付けるのです。
法律の勉強を始めて間もない頃は、理論から結論を出す、と勘違いしがちです。でも、法律の勉強は違います。逆です。結論から考える、理屈は後から付ける。。
この思考順序で問題文を読めば、肢エのような細かすぎて見たこともない知識でもその場で自分で正誤の判断をつけられます。
鉄道会社に賠償責任を負わせるべきでしょ、との結論を妥当と思えば、遡って線路や踏切は「土地の工作物」にあたると解釈することになる。判例もそう解釈しています。
あなたも自分の常識を信じて判断してみてください。その判断は当たっているものです。知らない知識であっても、自分の常識を信じて結論を考えてみる、その結論のためにはこう解釈することになるなと。
直前のこの時期に「法律の思考順序とは?」なんて、のんきなこと言わないでよ。。そんな声も聞こえてきそうですね。
でも、直前の、暗記に走りがちなこの時期にこそ、法律の勉強をする上での大前提となる、「法律の思考順序」について確認して欲しくて、補足としてあえて書いてみました。
結論が先にある。
判例の勉強などは、理論構成なんて後回しでOK。まずは、判例のとる結論を、自分の感性で納得できるか、いえ、納得できるまで徹底的に考えておく。何度も何度も納得する。
これを繰り返すことで、たとえ忘れてしまったとしても、本試験の会場で記憶を自力で引っ張りだすことができるようになります。
「ここは認めてあげないと可哀想なんだよな」と何度も納得した結論をまず思い出す。すると、その理論構成なども記憶から引っ張りだすことができるのです。
受験勉強から離れて数年も経つ僕でも、この方法で記憶を引っ張りだすことができるのです。
丸暗記は忘れたらオシマイ。合格して数ヶ月もしたら跡形もなく綺麗サッパリ忘れてしまいました・・では、まずいですよね。実務で仕事をするための勉強をしているのですから。
どうせ集中的に勉強をするのであれば、残る勉強、実務にいってからも自分を助けてくれるような勉強、そんな意味のある勉強をしてほしいとおもっています。
補足は以上です。