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『胎児の母の代理権』『失踪宣告』他、能力に関するいくつかのお話

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今回は、能力に関するいくつかのお話です。

Photo by Josh Bean on Unsplash

胎児の母の代理権

ここは、判例と学説の対立があって、学説まで真面目に勉強している人ほど間違えるところです。

〈大きな対立のある論点〉は、他にもいくつかあります。

ポイントはズバリ、「判例だけ覚えましょう!」です。

学説は見なくてOKです。ていうか、見てはいけない、かな(すいません、言い過ぎ…)。

学説も覚えようなんて思ったら、ほぼ100%本番で混乱します。本試験で学説を聞かれることはまずありません。出てきても、答えは判例です。

テキストなどには、有力学説の説明とか結構詳しく書かれたりしてますけど、「見ないよ!無視だ!」そう決めてしまって下さいね。スッキリする上に、混乱しなくなります。基本とは、条文と判例ですからね。(すいません、言い過ぎ…)

◇   ◇

で、「胎児の母の代理権」ですけど、判例は認めません。

残念なことに、良い母親ばかりではありません。「胎児の代理」と称して自分の利益を図る母親もいます。胎児の生まれる前に、「胎児の代理」でお金を受け取って、遊びにつかってしまったとか、男に貢いだ?とか、借金の返済に充てたとか、あり得ます。

胎児の権利を守るために、お腹の中の胎児にも損害賠償請求権や相続権を条文で定めたのに、胎児の権利を母親が自由に代理行使できるということでは、危険ですよね。良くない母親もいるから。。それが判例の考えです。

(損害賠償請求権に関する胎児の権利能力)
第七二一条 胎児は、損害賠償の請求権については、既に生まれたものとみなす

(相続に関する胎児の権利能力)
第886条 胎児は、相続については、既に生まれたものとみなす
2 前項の規定は、胎児が死体で生まれたときは、適用しない。

 余談 判例の結論には・・

余談ですけど、判例って、多数の国民が、「そりゃそうだろなあ」と納得のいく結論をとります。当然ですよね。

判例は社会のルールのひとつです。国民の多くが納得しないルールなんて、あってはなりません。

時代が変わって、国民の意識も変わった時は、判例も変わります。判例変更というやつです。判例の基盤は常に、国民の信頼なんですね。

だから、判例の結論にはあなたも納得できるはずです。というか、受験生としては、判例の結論に納得してしまうことが、仮にそれを忘れてしまったとしても、本試験場で思い出せる秘訣だったりします。これ認めるとワルイ母親いるからなー、って感じで思い出せるんです。

 さらに余談 裁判官の思考順序は・・

さらに余談ですけど、裁判官って、まず結論から出します。

ここの論点は理論的にこうだから、結論はこうなる・・なんて考えません。

逆です。結論から先に出して、理屈(理論)は後でくっつけます。最高裁判所の元裁判長の方も著書でそう書かれています。

判例は、国民の多数が納得する結論である必要があります。「理論的にはこうなるけど、その結論は国民の価値観とはズレてしまう」、ではいけないですよね。

結論が先にあって、例えば、「母親に代理権を認めると危険でしょ」という結論が先にあって、理屈を後からくっつける、という順番です。

受験生としても、まず結論を考えて納得して、「そりゃそうだよなあ」と判例の結論を納得して、覚える。そうすると、あれっ?と忘れてしまっても、本試験場で思い出せるのです。

余談、長くなりましたね。

ってことで、1は、「胎児の母は、損害賠償請求権をすることができる」としている点で誤りです。

失踪宣告

失踪宣告ですね。

(失踪の宣告)
第三〇条 不在者の生死が七年間明らかでないときは、家庭裁判所は、利害関係人の請求により、失踪の宣告をすることができる。
2 戦地に臨んだ者、沈没した船舶の中に在った者その他死亡の原因となるべき危難に遭遇した者の生死が、それぞれ、戦争が止んだ後、船舶が沈没した後又はその他の危難が去った後一年間明らかでないときも、前項と同様とする。

(失踪の宣告の効力)
第三一条 前条第一項の規定により失踪の宣告を受けた者は同項の期間が満了した時に、同条第二項の規定により失踪の宣告を受けた者はその危難が去った時に、死亡したものとみなす。

失踪宣告の基本は、「宣告あっても、本人は権利能力も行為能力も失わない」、ということです。

失踪宣告ってなんだ?って覚える時、ここでも納得して覚えることが有効です。

失踪して生死不明の状態のままでは身内が困りますよね。残していった土地や財産はどうするの?いっさい手を付けられないの?未来永劫に?

それでは困るので、「とりあえず、死亡したものとみなしましょ」、というのが失踪宣告の制度。「生きてたら、宣告を取り消して元に戻しましょ」、というもの。

でも、本人は生きてて、どこかで生活してるかもしれません。
なのに、宣告受けたから、買い物しても部屋借りても、なにしても全部効力なし、では、本人も相手も困ります。後になって、全部無効なんです・・なんていわれてもね。。

で、とりあえずの宣告あっても、「本人は権利能力も行為能力も失わない」。よく問われる、失踪宣告の基本知識です。

ってことで、2も、「すべて効力を生じない」としている点で誤りです。

成年後見人の辞任

成年後見人の辞任!?ですね。

受験勉強から離れて時間も経って、基本知識すら忘れかけている僕の頭に、成年後見人の辞任事由なんて記憶あるわけもなく、問題文を読んでも???知ってるわけないじゃん。。状態。

でも、問題文の、「正当な事由がないときでも、家庭裁判所の許可を得て、その任務を辞することができる。」

それは、ないんじゃない?と思いました。常識的に、正当な理由ないのに成年後見人の辞任を認めるなんてないでしょ。そんな感じ。

法律は国民の多数の意見、価値観と一致するものです。民主主義は多数決ですから。ってことは、僕の価値観にも一致してるはず。で、僕の価値観、常識でとりあえず判断。これは誤りだろうと。。

制限行為能力者の取り消し

制限行為能力者も取消はできます。

成年被後見人であっても取消はできます。取り消すだけだから。それだけ。

(未成年者の法律行為)
第五条 未成年者が法律行為をするには、その法定代理人の同意を得なければならない。ただし、単に権利を得、又は義務を免れる法律行為については、この限りでない。
2 前項の規定に反する法律行為は、取り消すことができる。
3 第一項の規定にかかわらず、法定代理人が目的を定めて処分を許した財産は、その目的の範囲内において、未成年者が自由に処分することができる。目的を定めないで処分を許した財産を処分するときも、同様とする。

(成年被後見人の法律行為)
第九条 成年被後見人の法律行為は、取り消すことができる。ただし、日用品の購入その他日常生活に関する行為については、この限りでない。

(取消権者)
第一二〇条 行為能力の制限によって取り消すことができる行為は、制限行為能力者又はその代理人、承継人若しくは同意をすることができる者に限り、取り消すことができる。
2 詐欺又は強迫によって取り消すことができる行為は、瑕疵ある意思表示をした者又はその代理人若しくは承継人に限り、取り消すことができる。

意思能力のない者の法律行為

制限行為能力者の制度は、開始の審判を受けて始まります。前半はその通り。

で、意思能力のない者の法律行為は無効です。条文にはありませんけど、そりゃそうですよね。判例もそういっています。

「基本だけで解く!」と思って解けば、僕のように記憶の薄れた状態でも、短時間で正解することができます。ましてや、現役受験生のあなたに解けない訳がない!ですよね。自分を信じてあげてくださいね。

まとめ

判例(条文や制度も)は、結論を納得した上で覚える。

「そりゃそうだろうなあ」と納得することが、忘れてしまっても思い出せる、とっておきの秘訣です。

今回は、以上です。

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