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公序良俗違反~(4)暴利行為(5)取締法規違反の法律行為の効力(6)強行法規違反の法律行為の効力

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公序良俗違反
民法判例百選Ⅰ[第7版] No.15~17
公序良俗違反(4)(5)(6)

今回も、『公序良俗違反』続きます。

3つの判例を、まとめてみてしまいましょう。

 

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NO.15.暴利行為(大審院昭和9年5月1日)
NO.16.取締法規違反の法律行為の効力(最判昭和35年3月18日)
NO.17.強行法規違反の法律行為の効力(最判平成11年2月23日)

ちょっと細かいかな、という判例ですけど、そうおもうところが出題されたりしますので、みていきましょう。

(公序良俗)
第九十条  公の秩序又は善良の風俗に反する事項を目的とする法律行為は、無効とする。

NO.15.暴利行為(大審院昭和9年5月1日)

古い判例ですね。
かつては、暴利行為について様々な議論があったようですけど、現在は、新たな法律の制定などもあり、状況は違っているようです。

◯ 事案 ◯

本判例は、消費貸借契約の締結に付随してなされた特約の内容が、不当に利益を貪るもの(返済できない時は、貸金額の5倍にあたる債権を没収する、といった内容)で、これが民法90条にあたり無効か否か、が争われた事案です。

◯ 判旨 ◯

暴利行為にあたるか否かは、2つの要件により判断される、と判示しました。

1、他人の窮迫・軽率もしくは無経験を利用したこと(主観的要件)

2、著しく過当な利益の獲得を目的とする法律行為であること(客観的要件)

で、本件特約は、2つの要件を満たしており、90条により無効である、としました。

 

ただ、現在では、付随的契約条項の問題については、消費者契約法が制定されていて、消費者契約における不当条項については、消費者契約法8条以下、とりわけ、10条が、一般条項として不当条項を広く規制しています。

・消費者契約法
第二節 消費者契約の条項の無効
(消費者の利益を一方的に害する条項の無効)
第十条  民法 、商法 (明治三十二年法律第四十八号)その他の法律の公の秩序に関しない規定の適用による場合に比し、消費者の権利を制限し、又は消費者の義務を加重する消費者契約の条項であって、民法第一条第二項 に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するものは、無効とする。
・民法
(基本原則)
第一条  私権は、公共の福祉に適合しなければならない。
2  権利の行使及び義務の履行は、信義に従い誠実に行わなければならない。
3  権利の濫用は、これを許さない。

また、本判例の示した要件についても、主観的要件について、その後の下級審判例が、「窮迫・軽率もしくは無経験」にあたらない場合にも、法律行為の無効をみとめています。

例えば、窮迫とまでいかなくても、相手方の弱みにつけ入り畏怖・困惑させた場合や、相手方の無知・判断能力の低下・従属状態・心理的な抑圧状態などを利用した場合にも、公序良俗違反が認められています。

 

で、主観的要件と客観的要件がでてくる場面での、いつものパターンで、暴利行為の主観的要件と客観的要件についても、両者を相関的に判断して、法律行為の有効無効を決するようです。

つまり、客観的要件(契約内容の不当性)が強い場合には、主観的要件が弱くても無効となりうる、その逆もしかり。。ということ。

 

民法改正の作業が進んでいますね。そこでは、暴利行為の明文規定を設けることが提案されているようです。

例えば、債権法改正の基本方針では、「当事者の困窮、従属もしくは抑圧状態、または思慮、経験、もしくは知識の不足等を利用して、その者の権利を害し、または不当な利益を取得することを内容とする法律行為は、無効とする」との規定が提案され、また、中間試案でも、同じような規定の提案があったようです。

ただ、要綱仮案では、適切な定式についての合意形成が困難であるという理由から、明文化は見送られたとのことです。

暴利行為の定式化は、今後の課題として、残されたようです。

NO.16.取締法規違反の法律行為の効力(最判昭和35年3月18日)

いきなりですけど、

◯  判旨 ◯

本件売買契約が食品衛生法による取締の対象に含まれるかどうかはともかくとして同法は単なる取締法規にすぎないものと解するのが相当であるから、上告人が食肉販売業の許可を受けていないとしても、右法律 により本件取引の効力が否定される理由はない。それ故右許可の有無は本件取引の私法上の効力に消長を及ぼすものではないとした原審の判断は結局正当であり、所論は採るを得ない。

行政上の取締法規に違反した行為の効力について、判例は、その規定が私法上の無効をもたらす強行法規であるのか、私法上の効力に関係しない単なる取締法規であるのか、区別をして、違反の効果を判断しています。

問題は、その規定が、強行法規なのか、単なる取締法規なのか、をどうやって区別するのか、です。

それについて、判例は、ア、当該行政法規の趣旨や目的、イ、違反行為に対する倫理的非難の程度、ウ、取引安全に対する影響、エ、違反行為を無効とすることが当事者の信義・公平に反する結果とならないか、等の諸要素を具体的に考慮して、区別するようです。

このように、わざわざ区別してまで、単なる取締法規違反にすぎない、その行為の私法上の効力を否定しない判例の姿勢の背後には、無効判断への謙抑性があるようです。なるべく無効とは宣言したくない、ということ。なかったことにしてしまうわけですからね。

で、単なる取締法規に違反した行為の私法上の効力は否定されないのが原則ですけど、判例は、そうであっても、その行為の悪質性が強いような場合には、公序良俗違反として民法90条により無効としているようです。例外中の例外のようですけど。。

この判例でおさえるべきことは、判例は、無効判断には謙抑的だ、という点だとおもわれます。

NO.17.強行法規違反の法律行為の効力(最判平成11年2月23日)

この判例は、NO.16とは逆で、問題となった規定を強行法規と解釈して、その違反行為の私法上の効力を否定しました。

◯ 判旨 ◯

民法六七八条は、組合員は、やむを得ない事由がある場合には、組合の存続期間の定めの有無にかかわらず、常に組合から任意に脱退することができる旨を規定しているものと解されるところ、同条のうち右の旨を規定する部分は、強行法規であり、これに反する組合契約における約定は効力を有しないものと解するのが相当である。けだし、やむを得ない事由があっても任意の脱退を許さない旨の組合契約は、組合員の自由を著しく制限するものであり、公の秩序に反するものというべきだからである
本件規定は、これを三1のとおりの趣旨に解釈するとすれば、やむを得ない事由があっても任意の脱退を許さないものとしていることになるから、その限度において、民法六七八条に違反し、効力を有しないものというべきである。

(組合員の脱退)
第六百七十八条  組合契約で組合の存続期間を定めなかったとき、又はある組合員の終身の間組合が存続すべきことを定めたときは、各組合員は、いつでも脱退することができる。ただし、やむを得ない事由がある場合を除き、組合に不利な時期に脱退することができない。(注。つまり、やむを得ない事由がある場合は、常に脱退できるということ)
2  組合の存続期間を定めた場合であっても、各組合員は、やむを得ない事由があるときは、脱退することができる。

 

以上、細かい判例が続きましたね。ダイナミックな展開があるわけでもなく、淡々と押さえていく、そんな判例でした。。

 

今回は、以上です。

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